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検討プロセスを検討する
いい施策を実現するためには、その施策自体のクリエイティビティが重要であることはもちろんですが、それと同じくらいに、検討と実行における体制と進め方のクリエイティビティが重要です。クライアント企業のプロジェクトオーナーが責任をもって、既存の組織図や常識を越えるようなチームアップをすることが、いい施策の出発点です。その施策が、これまでの(社内と社外の)常識を打破しようとしているのであれば、なおさらのことです。
我々「らしさ」を見つめる
あらゆる経営判断は、その企業がこれまで歩んできた「過去」と、その企業が実現したい「未来」とが交差する「現在」において生じます。
それゆえに、これまで築いてきた経営資源や企業能力、これまで育まれてきた考え方や(無意識の)行動原理について、それらのユニークさを認識することが必要です。突き詰めれば「我々は何者であったのか」という問いから目を逸らさない覚悟が要ります。
一方で、英語の未来形を示す助動詞 willが「意志」という意味も持つ単語であることが象徴しているように、「自社の未来」とは「我々の意志」そのものです。既存の事業領域や企業能力に縛られ過ぎずに構想するためには、それを自分ゴトにすることが前提となるでしょう。
コンサルタントはクライアントとの対話を通じて、その自己認識が歪んでいたり独りよがりになっていないかを知るための「鏡」のような存在として機能します。(ただし、ある程度の歪みは必要かもしれません。"思い込み"と"独自の世界観"とは紙一重でしょうから。)
我々「として」環境を見つめる
経営判断のもう一つの側面は、外部の環境と自社の施策との間の調和を創造することです。
環境の変化を察知すること、いつの時代も変わらない業界の本質を捉えること。その作業は客観的で科学的な行為と思われつつも、実のところ、自分たちの「モノを見るメガネ」を通してしか実施できません。どの範囲を自社の土俵全体と定義して検討するか、どのような事実を拾い上げるか、その事実にどういう意味付けをするか。そういったことは、極めて主観的な行為です。
また、そのようなものでなければ、覚悟のこもった意志決定に繋がらないものです。無理やり表現するとすれば、「主観的な客観性」とでも言いましょうか。
さらに、将来の環境変化を予測しようとする時、そこには「我々として将来の環境変化に、どう作用するか」という視点が入ることもあるでしょう。そこでは、主観と客観の境界線は溶けていくものです。
その時コンサルタントは、客観的な情報収集と分析をアウトソースされる存在というよりは、外部環境に対する確信と覚悟の備わった「我々としての」認識の「共同作者」として貢献します。
ギャップと不調和の創造的解決
「我々は何者であったのか」と「我々は何者になりたいのか」との間にあるギャップ、あるいは、外部環境と自社との間にある不調和を目の当たりにしたとき、ポジティブ/ネガティブな驚きと、変革に対するモチベーション(期待、希望、焦り、怒り...)が生まれます。「あたらしい」我々に向かうための方向性と決意とも言えるものです。
この状況において、まさに戦略的な経営判断(中期的な視点で、経営資源の配置にメリハリを付けること)が実現すると考えます。
「らしく、あたらしい」会社へと向かって...